美術品詳細

対馬の海

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項目 内容
資料番号 A-0036
種別 日本画(万葉日本画)
美術品名 対馬の海 / つしまのうみ
制作年 平成10年
法量(cm) 97 x 162.1
材質・技法 紙本着色
形状 額装
作者 下保 昭 / かほあきら
解説  「遣新羅使」とは、新羅に遣わされた外交使節団のことである。『万葉集』の巻十五あ、天平八年(七三六)に新羅に遣わされた使人の歌を収載している。六月に難波を出航した一行は、対馬にやっと辿りつくのだが、ここで長い風待ちを必要としたようである。季節は早くも秋。その風待ちの間の紅葉の移ろいを描いた歌である。絵は、使人の不安な心に映しだされた対馬の景を描いている。
画家のことば  風景をながめていると、私はいつも地球の創世記を感じとってしまうのです。ですから、山をみても海をみても、今見えている表面を描くのではなく、地球の骨格をデッサンします。
 私が対馬を訪れたとき、滞在中の毎日が雨もよいでした。雲におおわれた島の風景は、いつものその想像をさらにかき立てました。山の綾線は海に落ち込み、水に潜った命の勢いは地球の岩盤までもとどいて、しっかり根づいています。
 山々の重なりや谷間のつくるひだには、薄く濃く霧がかかり、まるで山が息をしているかのようでした。
 対馬は古来国境の島でした。一三〇〇年前、遣新羅使の一行が風を待ってここに停泊したとき目にしたのは、どのような島の姿だったでしょうか。