美術品詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | A-0049 |
種別 | 日本画(万葉日本画) |
美術品名 | 情焼く / こころやく |
制作年 | 平成10年 |
法量(cm) | 155 x 190 |
材質・技法 | 紙本着色 |
形状 | 額装 |
作者 | 木村圭吾 / きむらけいご |
解説 | 激しい嫉妬を歌った女歌である。恋敵の家を焼き払ってしまいたいという激情が直截に表現されている。さらには、やってこない恋人を思いつつ床に伏す、独り寝の苦しみも如何なく表現された歌である。絵からは、激しい嫉妬心を秘めた胸の内を読み取ることができる。女性の傍らに空しく転がった花駕篭は、破綻した恋の行方を暗示するものだろう。 |
画家のことば | この歌は嫉妬の歌である。愛憎の苦しみは、万葉の時代から変わっていないのだ。歯ぎしりする主人公を直接描こうとすると、画面がきたなくなってしまう。赤裸々な感情の表出とあまりの率直さに、ややもすると吞み込まれそうになった。 しかし、人間、醜いだけの人、美しいだけの人なんてありえない。その両方のいのちを持っているのが人間であろうと思ったとき、構図が決まった。 森羅万象が宇宙と交響しあう世界、それが万葉である。その波動のなかに、娘子を配した。周囲の花も娘子のいのちの清らかさをたたえている。 しかし、自身の葛藤、情念に苦しむ娘子の目は、うつろで中空をみつめたままである。 月光に照らされて浮かび上がる雌雄一対の狐は、情の炎のなかで戯れ合っている。 |