美術品詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | A-0064 |
種別 | 日本画(万葉日本画) |
美術品名 | 望郷 / ぼうきょう |
制作年 | 平成9年 |
法量(cm) | 97 x 145.5 |
材質・技法 | 紙本着色 |
形状 | 額装 |
作者 | 清水達三 / しみずたつぞう |
解説 | 配流の人となった石上乙麻呂は、急速に出世した高官であった。その高官の密通による失脚は、スキャンダルとして多くの宮廷人に衝撃を与えたようである。この歌の前に配されている三つの長歌は、配流の人となった乙麻呂の様子を伝えている。「大崎の神の小浜」は、和歌山県海草郡下津町大崎のあたり。配流の旅あれば、「百船人」が立ち寄る港といえど、祈願すべき神の鎮座する港といえど、素通りをして、そこから出発しなければならなかった。 |
画家のことば | 天平十一年(七三九)三月、石上乙麻呂が藤原宇合の未亡人久米若売との恋により、土佐に流される途中詠んだ歌である。和歌山県の大崎・神の小浜は、リアス式海岸特有の湾入の深さをもつ港町で、乙麻呂はここから船出した。太古の昔から変わることのない地形が、万葉時代へとひきもどしてくれる。 後方に共船として遣唐使船を入れたが、鎌倉時代に画かれたものを参考にした。当時の造船技術は、唐の国で建造された船を凌ぐ性能を持っていたらしい。流人とはいえ要人の配流となると、特に堅牢な乗り物と多くの従者を配したのではないかと思う。 乙麻呂を乗せた船の船尾にある動物の頭部は、古代より人間に利用され続け後には神の遣いにまでされた運命の鹿を、石上卿と重ね合わせて制作した。 |