美術品詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | A-0066 |
種別 | 日本画(万葉日本画) |
美術品名 | 朝霧 / あさぎり |
制作年 | 平成11年 |
法量(cm) | 145.5 x 112.1 |
材質・技法 | 紙本着色 |
形状 | 額装 |
作者 | 下田義寬 / しもだよしひろ |
解説 | 大伴家持が、鹿鳴を詠った歌。鹿鳴は大和の秋の風物詩の一つであった。それは、妻を呼ぶ声として、万葉びとの琴線に触れるものであり、作者の家持は鹿鳴を聞いて、朝霧のなかにたたずむ鹿の姿を想像しているのである。左注には、「独りで秋の野を思い、私感を述べて作った歌」とある。高円は、奈良市の東南にある山であり、現在は「たかまど」と発音するが、奈良時代は清音で「たかまと」と発音することが一般的であった。 |
画家のことば | 昭和六十二年、町春草先生が万葉集のなかの花に因んだ歌を選んで、書を制作出版されたことがあった。そのとき、それに合わせた万葉植物の挿絵のご依頼を受けた。植物学者の御教示を受けつつ、花を中心に二年余り各所を取材した。 万葉歌四五一六首のうちの約三分の一が、枕詞なども含めて植物と関係のあるもので、万葉集ほど自然を背景とし、これを織り込んでいる文学は、世界の文学史上にもまれだと言う事を知った。 この古典文学をはじめ、日本文化を考察し再確認することは、現代絵画のみならず、広く今の日本文化が抱える問題の糸口を把え、混沌を突き抜けてゆく原動力ともなるだろう。 画面は万葉の言葉を彷彿とさせる老木の写生を構成し、日月をイメージした円窓に、つがいの鹿のひきあう思いを托し、白金砂子を繰り返し蒔くことで、上代の気配を感じさせたかった。枝垂桜のそよぐさまを朝霧に共鳴するものとして配した。 |