美術品詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | A-0087 |
種別 | 日本画(万葉日本画) |
美術品名 | 散りのまがひ / ちりのまがひ |
制作年 | 平成9年 |
法量(cm) | 162.1 x 112.1 |
材質・技法 | 紙本着色 |
形状 | 額装 |
作者 | 中島千波 / なかじまちなみ |
解説 | この作品は、長歌一首と反歌二首から成り立っている。当該の歌は、長歌に続く第一反歌である。任地・越中で重い病に臥した家持は、「いのち」を考える機会を得る。と同時に「世」のはかなさについても、一種の諦観を得たのであろう。いのちのはかなさを「春花の散りの乱ひ」にたとえている。時に、七四七年のことであった。 |
画家のことば | 一見厭世的に思えるが、歌の中には人間の心理の深さを想わせるものがある。流動的な社会や世間であるがゆえに美が表現され、愛をもって包みこもうとする。 夜空の天の川や星たち、桜の木の下の川には、春風に散る花びらが「花いかだ」となる。漆黒の空間は天空の星と桜の花びらが心にダブり、夢心地になっていく様を想定してみた。 最近テーマとしている「空」シリーズは、『般若心境』―色不異空 空不異色 色即是空 空即是色―の「空」である。桜の老木を描いていると、輪廻の世界を思う。春になるとパッと咲き、四、五日で散り、夏は葉が繁茂し、秋から冬には枯木となり、何十年何百年と生きている姿が、「空」の世界を具現しているように見えるのは、私だけではないだろう。春風の桜吹雪の下で写生する時は、まさしく夢心地である。 |