美術品詳細
項目 | 内容 |
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資料番号 | A-0096 |
種別 | 日本画(万葉日本画) |
美術品名 | 秋山迷ひぬる / あきやままとひぬる |
制作年 | 平成10年 |
法量(cm) | 145.5 x 112.1 |
材質・技法 | 紙本着色 |
形状 | 額装 |
作者 | 西田俊英 / にしだしゅんえい |
解説 | 妻を失った悲しみを絶唱した人麻呂挽歌の代表作の一つ。山に葬られた妻の死を、秋山に迷ったと文学的に表現している。しかし、人麻呂はその妻のいる場所にたどりつけない、と歌っている。それは、いかなる手段を以てしても、死というものを押し止めることはできないという、無常のことわりを歌っているのだろう。妻の面影を求めて、紅葉の秋山をさまよう人麻呂の後ろ姿を、絵は幻想的に描いている。 |
画家のことば | この短歌は、柿本人麻呂が、離れて暮らしていた妻の死を知らされた直後、悲しみの中で詠まれた一連の作の一首です。一面朱色に染められた秋山の中、人麻呂は現世と黄泉の世界の狭間を、悲しみにくれ彷徨っている。在りし日の優しい妻の面影を胸に、名を呼び死者の霊を呼び戻そうとしたが、鳥の声も妻の声もなく、そこには静寂だけが漂っていた。とても悲しい歌であり、またとても美しい色彩の階調をイメージさせる歌でもあります。 人麻呂の妻に対する激しい燃えるような情熱の愛の色、妻の突然の死によって心が切り裂かれ傷つき血の滲むような苦しみの色、そして妻の死という抽象的な事柄と落葉の散る様を、現し身を消してしまうという古代人の生命感、霊魂のイメージを彷彿とさせる黄葉の樹々の色……様々な思いを朱の岩絵具に託してみました。 |