歌詳細

石上布留の尊はたわやめの惑に因りて馬じもの縄取り付け鹿じもの弓矢囲みて大君の命恐み天離る鄙辺に罷る古衣真土山ゆ帰り来ぬかも

項目 内容
番号 6-1019
漢字本文(題詞) 石上乙麻呂卿配土佐國之時歌三首〔并短歌〕
漢字本文 石上振乃尊者弱女乃或尒縁而馬自物繩取附肉自物弓笶囲而王命恐天離夷部尒退古衣又打山従還来奴香聞
読み下し文(題詞) 石上乙麻呂卿の土左国に配さえし時の歌三首〔并せて短歌〕
読み下し文 石上布留の尊はたわやめの惑に因りて馬じもの縄取り付け鹿じもの弓矢囲みて大君の命恐み天離る鄙辺に罷る古衣真土山ゆ帰り来ぬかも
訓み いそのかみふるのみことはたわやめのまとひによりてうまじものなはとりつけししじものゆみやかくみておほきみのみことかしこみあまざかるひなべにまかるふるごろもまつちのやまゆかへりこぬかも
現代語訳 石上の布留の君は、美しい女性への心まどいによって、まるで馬のように縄をくくりつけられ、けものみたいに弓矢が囲んで、天皇の御命令をかしこんでは、天道遠いいなかに退出していく。古い衣をまた打つ又打の山から旅立って、帰っては来ないなあ。
歌人 作者未詳 /
歌体 長歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節 なし
補足 石上乙麻呂/いそのかみのをとまろ/石上乙麻呂【石上乙麻呂卿】
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】石上
【故地名読み】いそのかみ
【現在地名】奈良県天理市
【故地説明】奈良県寺理市の石上神宮を中心とした一帯の総称。布留はその中にあり、「石上布留」と言い慣らされていた。いまも石上町・布留町の名が残る。
【故地名】土佐の国
【故地名読み】とさのくに
【現在地名】高知県
【故地説明】国名。高知県の地。
【故地名】布留
【故地名読み】ふる
【現在地名】奈良県天理市
【故地説明】奈良県天理市布留の地。市街東方山裾の地で石上神宮がある。
【故地名】真土の山
【故地名読み】まつちのやま
【故地説明】奈良県五條市上野町から和歌山県橋本市隅田町真土に越える山(待乳峠)、葛城山脈南端の端山(160メートル)、大和と紀伊の境。
【地名】真土山
【現在地名】奈良県五條市上野町から和歌山県橋本市隅田町真土に越える山。