歌詳細

橘の本に道踏む八衢に物をそ思ふ人に知らえず

項目 内容
番号 6-1027
漢字本文 橘本尒道履八衢尒物乎曽念人尒不所知
漢字本文(左注) 右一首、右大辨高橋安麻呂卿語云故豊嶋采女之作也。
但或本云三方沙弥、戀妻苑臣作歌也。然則、豊嶋采女、當時當所口吟此歌歟。
読み下し文 橘の本に道踏む八衢に物をそ思ふ人に知らえず
読み下し文(左注) 右の一首は、右大弁高橋安麻呂卿語りて云はく「故豊島采女の作なり」といへり。
ただ或る本に云はく「三方沙弥の、妻の苑臣に恋ひて作れる歌なり」といへり。然らばすなはち、豊島采女は、当時当所にこの歌を口吟へるか。
訓み たちばなのもとにみちふむやちまたにものをそおもふひとにしらえず
現代語訳 橘の下に道を踏む八衢のように、あれこれと物思いをすることよ。人知れずに。
現代語訳(左注) 右の一首は、右大弁高橋安麿卿が語っていうには「なくなった豊島采女の作である」という。
但し、ある本では「三方沙弥が妻の苑の臣に恋して作った歌だ」という。とすると、豊島采女は、折にふれてこの歌を口ずさんだのだろうか。
歌人 三方沙弥 / みかたのさみ
歌人別名 三形沙弥
歌体 短歌
時代区分 不明
部立 雑歌
季節
補足 豊島采女/としまのうねめ/豊島采女
詠み込まれた地名 平城京 / 奈良
関連地名 【故地名】豊島
【故地名読み】としま
【故地説明】郡名。『和名抄』に「摂津国豊島手島」(大阪府豊能郡)、「武蔵国豊島止志末」(→豊島郡)があっていずれか不明。