歌詳細

妹に恋ひ吾の松原見渡せば潮干の潟に鶴鳴き渡る

項目 内容
番号 6-1030
漢字本文(題詞) 天皇御製歌一首
漢字本文 妹尒恋吾乃松原見渡者潮干乃滷尒多頭鳴渡
漢字本文(左注) 右一首、今案、吾松原在三重郡、相去河口行宮遠矣。
若疑御在朝明行宮之時、所製御歌、傳者誤之歟。
読み下し文(題詞) 天皇の御製歌一首
読み下し文 妹に恋ひ吾の松原見渡せば潮干の潟に鶴鳴き渡る
読み下し文(左注) 右の一首は、今案ふるに、吾の松原は三重郡にあり、河口の行宮を相去ること遠し。
けだし朝明の行宮におはしましし時に、製りましし御歌にして、伝ふる者誤れるか。
訓み いもにこひあがのまつばらみわたせばしほひのかたにたづなきわたる
現代語訳 妹を恋しく思う吾。吾(あが)の松原から遠く見渡すと、潮干の潟に鶴が鳴き飛ぶことよ。
現代語訳(左注) 右の一首は、今考えてみると、吾の松原は三重郡にあって、河口の行宮から遠く離れている。
あるいは朝明の行宮においでになった時に作った御歌を、伝承者が誤ったのだろう。
歌人 聖武天皇 / しやうむてんわう
歌人別名 天皇, 太上天皇, 寧楽宮即位天皇
歌体 短歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節
補足 聖武天皇/しやうむてんわう/聖武天皇
詠み込まれた地名 伊勢 / 三重
関連地名 【故地名】吾の松原
【故地名読み】あがのまつばら
【現在地名】三重県
【故地説明】所在未詳。三重県四日市市の南から三重郡楠町に至る海岸のどこか。三重郡赤ノ松原(所在未詳)、富田浜、富洲浜、四日市市松原町、鈴鹿市北・中・南若松町、津市安濃津、志摩の英虞湾など諸説。
【故地名】朝明の行宮
【故地名読み】あさけのかりみや
【現在地名】三重県
【故地説明】所在未詳。旧朝明郡は三重県三重郡と四日市市の北部の地。
【故地名】河口の行宮
【故地名読み】かわぐちのかりみや
【現在地名】三重県津市白山町
【故地説明】関の宮ともいわれ、この地にあった行宮。遺址は小字御城の医王寺付近と伝えられる。天平12(740)年11月聖武天皇は10日間滞在、藤原広嗣逮捕の報告を受けた。
【故地名】三重の郡
【故地名読み】みえのこおり
【現在地名】三重県
【故地説明】伊勢国の郡名。三重県三重郡南部及び七日市市の地。
【地名】吾の松原
【現在地名】所在未詳だが、左注の記載から推して、三重県四日市市の南から三重郡楠町にかけての海岸のどこかであろうという。