歌詳細

やすみししわご大君の夕されば見したまふらし明け来れば問ひたまふらし神岳の山の黄葉を今日もかも問ひたまはまし明日もかも見したまはましその山をふりさけ見つつ夕さればあやに悲しび明け来ればうらさび暮し荒たへの衣の袖は乾る時もなし

項目 内容
番号 2-159
漢字本文(題詞) 天皇崩之時大后御作歌一首
漢字本文 八隅知之我大王之暮去者召賜良之明来者問賜良志神岳乃山之黄葉乎今日毛鴨問給麻思明日毛鴨召賜萬旨其山乎振放見乍暮去者綾哀明来者裏佐備晩荒妙乃衣乃袖者乾時文無
読み下し文(題詞) 天皇の崩りましし時に、大后の作りませる御歌一首
読み下し文 やすみししわご大君の夕されば見したまふらし明け来れば問ひたまふらし神岳の山の黄葉を今日もかも問ひたまはまし明日もかも見したまはましその山をふりさけ見つつ夕さればあやに悲しび明け来ればうらさび暮し荒たへの衣の袖は乾る時もなし
訓み やすみししわごおほきみのゆふさればめしたまふらしあけくればとひたまふらしかむをかのやまのもみちをけふもかもとひたまはましあすもかもめしたまはましそのやまをふりさけみつつゆふさればあやにかなしびあけくればうらさびくらしあらたへのころものそではふるときもなし
現代語訳 あまねく国土をお治めになるわが大君が、夕べには御覧になるらしい、朝には訪れられるらしい。神岳の黄葉を今日もお訪ねになるだろうか。明日もまた御覧になるだろうか。私は、その山を遠く望みながら夕暮になるとたまらなく悲しく、夜が明けると寂しく一日をすごし、荒布の喪服の袖は涙で乾くまもない。
歌人 持統天皇 / ぢとうてんわう
歌人別名 藤原宮御宇天皇, 大后, 太上天皇, 天皇, 高天原広野姫天皇, 藤原宮御宇天皇 / ふぢはらのみやにあめのしたしらしめししすめらみこと
歌体 長歌
時代区分 第2期
部立 挽歌
季節 なし
補足 持統天皇/ぢとうてんわう/持統天皇【大后】
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】神岳の山
【故地名読み】かむおかのやま
【現在地名】奈良県高市郡明日香村
【故地説明】奈良県高市郡明日香村雷の雷丘のこと。飛鳥坐神社の旧鎮座地、飛鳥の神名備山、三諸の神名備山、神名備の三諸の山ともいわれる。一説に甘橿丘。
【地名】神丘
【現在地名】甘橿丘の北の雷丘か