歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻9-1753 |
漢字本文(題詞) | 檢税使大伴卿登筑波山時歌一首〔并短歌〕 |
漢字本文 | 衣手常陸国二並筑波乃山乎欲見君来座登熱尒汗可伎奈氣木根取嘯鳴登峯上乎公尒令見者男神毛許賜女神毛千羽日給而時登無雲居雨零筑波嶺乎清照言借石国之真保良乎委曲尒示賜者歓登紐之緒解而家如解而曽遊打靡春見麻之従者夏草之茂者雖在今日之楽者 |
読み下し文(題詞) | 検税使大伴卿の、筑波山に登りし時の歌一首〔并せて短歌〕 |
読み下し文 | 衣手常陸の国に二並ぶ筑波の山を見まく欲り君来ませりと暑けくに汗かきなけ木の根取りうそむき登り尾の上を君に見すれば男の神も許したまひ女の神もちはひたまひて時となく雲居雨降る筑波嶺をさやに照らしいふかりし国のまほらをつばらかに示したまへば嬉しみと紐の緒解きて家のごと解けてそ遊ぶうちなびく春見ましゆは夏草の繁くはあれど今日の楽しさ |
訓み | ころもでひたちのくににふたならぶつくはのやまをみまくほりきみきませりとあつけくにあせかきなけこのねとりうそむきのぼりをのうへをきみにみすればをのかみもゆるしたまひめのかみもちはひたまひてときとなくくもゐあめふるつくはねをさやかにてらしいふかりしくにのまほらをつばらかにしめしたまへばうれしみとひものをときていへのごととけてそあそぶうちなびくはるみましゆはなつくさのしげくはあれどけふのたのしさ |
現代語訳 | 衣手を漬(ひた)す常陸の国に二山が並ぶ筑波の山を見たいと欲してあなたがいらっしゃったので、暑い日を汗を掻き辛い思いをしつつ、木の根にすがっては息づき登り、頂上をあなたに見せると、男岳の神もお許しなさり、女岳の神も加護をくださって、ふつうならいつも雲がかかり雨の降る筑波の山を、今日は晴ればれと照らし、今まで十分に見ることもなかった国のすぐれた様子を、はっきりとお示しくださったので、嬉しく思って衣の紐を解いて、家にいるように心も解けて遊んだ。霞こめる春に眺めるのもよかろうが、夏草が茂ってはいても、春の野遊びにもまして今日の楽しいことよ。 |
歌人 | 高橋連虫麻呂歌集 / たかはしのむらじむしまろのかしふ |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 第3期 |
部立 | 雑歌 |
季節 | なし |
補足 | 高橋虫麻呂/たかはしのむしまろ/高橋虫麻呂【高橋連虫麻呂歌集】 |
詠み込まれた地名 | 常陸 / 茨城 |
関連地名 | 【故地名】筑波の山 【故地名読み】つくばのやま 【現在地名】茨城県 【故地説明】筑波山のこと。 【故地名】筑波嶺 【故地名読み】つくばね 【現在地名】茨城県 【故地説明】筑波山に同じ。 【故地名】常陸の国 【故地名読み】ひたちのくに 【現在地名】茨城県 【故地説明】国名。ほぼ現在の茨城県に一致する。 【地名】常陸の国:筑波の山:筑波嶺 【現在地名】国名。ほぼ現在の茨城県に一致する:茨城県つくば市にある筑波山。高さ八七六メートル:筑波の山に同じ |