歌詳細

鷲の住む筑波の山の裳羽服津のその津の上に率ひて娘子壮士の行き集ひかがふ嬥歌に人妻に我も交らむ我が妻に人も言問へこの山をうしはく神の昔より禁めぬ行事ぞ今日のみはめぐしもな見そ言も咎むな〔嬥歌は、東の俗語にかがひと曰ふ〕

項目 内容
番号 9-1759
漢字本文(題詞) 登筑波嶺為嬥歌會日作歌一首〔并短歌〕
漢字本文 鷲住筑波乃山之裳羽服津乃其津乃上尒率而未通女壮士之往集加賀布嬥歌尒他妻尒吾毛交牟吾妻尒他毛言問此山乎牛掃神之従来不禁行事叙今日耳者目串毛勿見事毛咎莫〔嬥謌者東俗語曰賀我比〕
読み下し文(題詞) 筑波嶺に登りて嬥歌会をせし日に作れる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 鷲の住む筑波の山の裳羽服津のその津の上に率ひて娘子壮士の行き集ひかがふ嬥歌に人妻に我も交らむ我が妻に人も言問へこの山をうしはく神の昔より禁めぬ行事ぞ今日のみはめぐしもな見そ言も咎むな〔嬥歌は、東の俗語にかがひと曰ふ〕
訓み わしのすむつくはのやまのもはきつのそのつのうへにあともひてをとめをとこのゆきつどひかがふかがひにひとづまにわれもまじらむわがつまにひともこととへこのやまをうしはくかみのむかしよりいさめぬわざぞけふのみはめぐしもなみそこともとがむな〔歌は、東の俗語にかがひと曰ふ〕
現代語訳 鷲の住む筑波の山の裳羽服津の、その泉のほとりに、つれだって女や男が集まり、歌をかけ合う歌で、他人の妻に私も交わろう。わが妻に他人もことばをかけよ。この山をお治めになる神が、昔から禁じない事だ。今日だけは監視をするな。咎め言もするな。〔歌は東国の方言でカガヒという。〕
歌人 高橋連虫麻呂歌集 / たかはしのむらじむしまろのかしふ
歌体 長歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節 なし
補足 高橋虫麻呂/たかはしのむしまろ/高橋虫麻呂【高橋連虫麻呂歌集】
詠み込まれた地名 常陸 / 茨城
関連地名 【故地名】東
【故地名読み】あずま
【故地説明】東国地方の総称。範囲は一定しないが、集中では、東海道は遠江以東、東山道は信濃以東をさし、陸奥を含む。
【故地名】筑波の山
【故地名読み】つくばのやま
【現在地名】茨城県
【故地説明】筑波山のこと。
【故地名】筑波嶺
【故地名読み】つくばね
【現在地名】茨城県
【故地説明】筑波山に同じ。
【故地名】裳羽服津
【故地名読み】もはきつ
【現在地名】茨城県(旧筑波郡)
【故地説明】茨城県(旧筑波郡)の筑波山女体峰の中。位置未詳。
【地名】筑波の山:裳羽服津
【現在地名】茨城県つくば市にある筑波山。高さ八七六メートル:所在未詳