歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻9-1792 |
漢字本文(題詞) | 思娘子作歌一首〔并短歌〕 |
漢字本文 | 白玉之人乃其名矣中〻二辞緒下延不遇日之数多過者恋日之累行者思遣田時乎白土肝向心摧而珠手次不懸時無口不息吾恋兒矣玉釧手尒取持而真十鏡直目尒不視者下檜山下逝水乃上丹不出吾念情安虚歟毛 |
読み下し文(題詞) | 娘子を思ひて作れる歌一首〔并せて短歌〕 |
読み下し文 | 白玉の人のその名をなかなかに言を下延へ逢はぬ日のまねく過ぐれば恋ふる日の重なり行けば思ひ遣るたどきを知らに肝向かふ心砕けて玉だすきかけぬ時なく口止まず我が恋ふる児を玉釧手に取り持ちてまそ鏡直目に見ねば下ひ山下行く水の上に出でず我が思ふ心安きそらかも |
訓み | しらたまのひとのそのなをなかなかにことをしたはへあはぬひのまねくすぐればこふるひのかさなりゆけばおもひやるたどきをしらにきもむかふこころくだけてたまだすきかけぬときなくくちやまずわがこふるこをたまくしろてにとりもちてまそかがみただめにみねばしたひやましたゆくみづのうへにいでずわがおもふこころやすきそらかも |
現代語訳 | 真珠のように大切なその人の名を、なまじっかことばに出さずに心に秘めつづけて、逢わぬ日が長くたったので、恋うる日も積っていったので、心を遣るすべもなく、肝向う心も砕けて、玉襷のように心にかけぬ時なく、たえず口にして恋したう子を、玉の釧のごとく手にとりもち、また真澄鏡のようにじかに見るといったこともないから、下べの色づく山の木の下がくれに流れる水のごとく、表に出さずわが思う心は、安らかな状態ではありえない。 |
歌人 | 田辺福麻呂之歌集 / たなべのさきまろのかしふ |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 第4期 |
部立 | 相聞歌 |
季節 | なし |
補足 | 田辺福麻呂/たなべのさきまろ/田辺福麻呂【田辺福麻呂之歌集出】 |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |