歌詳細

天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば松風に池波立ちて桜花木の暗茂に奥辺には鴨妻呼ばひ辺つ方にあぢむら騒きももしきの大宮人の退り出て遊ぶ船には梶棹も無くてさぶしも漕ぐ人無しに

項目 内容
番号 3-257
漢字本文(題詞) 鴨君足人香具山歌一首〔并短歌〕
漢字本文 天降付天之芳来山霞立春尒至婆松風尒池浪立而櫻花木乃晩茂尒奥邊尒波鴨妻喚邊津方尒味村左和伎百礒城之大宮人乃退出而遊船尒波梶棹毛無而不樂毛己具人奈四二
読み下し文(題詞) 鴨君足人の香具山の歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば松風に池波立ちて桜花木の暗茂に奥辺には鴨妻呼ばひ辺つ方にあぢむら騒きももしきの大宮人の退り出て遊ぶ船には梶棹も無くてさぶしも漕ぐ人無しに
訓み あもりつくあまのかぐやまかすみたつはるにいたればまつかぜにいけなみたちてさくらばなこのくれしげにおきへにはかもつまよばひへつへにあぢむらさわきももしきのおほみやびとのまかりでてあそぶふねにはかぢさをもなくてさぶしもこぐひとなしに
現代語訳 天から降って来たという聖なる香具山に霞こめる春になると、松吹く風に池の波が立って、桜の花は木の下も暗くなるほど茂り、埴安の池の沖の方では鴨が妻を呼んで鳴き、岸の方では味鴨が騒ぐ。壮麗な大宮の人々が御前を退出して遊んだ船には梶も棹もなく、寂しいことよ、漕ぐ人々もなくて。
歌人 鴨君足人 / かものきみのたりひと
歌体 長歌
時代区分 第2期
部立 雑歌
季節 なし
補足 鴨足人/かものたりひと/鴨足人
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】天の香具山
【故地名読み】あまのかぐやま
【現在地名】奈良県
【故地説明】奈良県橿原市と桜井市との境にある香具山(148メートル)。神の香具山とも単に香具山ともいう。大和三山の一。
【故地名】香具山
【故地名読み】かぐやま
【現在地名】奈良県
【故地説明】→天の香具山(奈良県橿原市と桜井市との境にある香具山(148メートル)。神の香具山とも単に香具山ともいう。大和三山の一。)
【地名】香具山
【現在地名】奈良県橿原市の東部にある山