歌詳細

かむとけの光れる空の九月のしぐれの降れば雁がねもいまだ来鳴かず神奈備の清き御田屋の垣内田の池の堤の百足らずい槻の枝にみづ枝さす秋のもみち葉まき持てる小鈴もゆらにたわやめに我はあれども引き攀ぢて峯もとををにふさ手折り我は持ちて行く君がかざしに

項目 内容
番号 13-3223
漢字本文 霹靂之日香天之九月乃鍾礼乃落者鴈音文未来鳴甘南備乃清三田屋乃垣津田乃池之堤之百不足五十槻枝丹水枝指秋赤葉真割持小鈴文由良尒手弱女尒吾者有友引攀而峯文十遠仁捄手折吾者持而往公之頭刺荷
読み下し文 かむとけの光れる空の九月のしぐれの降れば雁がねもいまだ来鳴かず神奈備の清き御田屋の垣内田の池の堤の百足らずい槻の枝にみづ枝さす秋のもみち葉まき持てる小鈴もゆらにたわやめに我はあれども引き攀ぢて峯もとををにふさ手折り我は持ちて行く君がかざしに
訓み かむとけのひかれるそらのながつきのしぐれのふればかりがねもいまだきなかずかむなびのきよきみたやのかきつたのいけのつつみのももたらずいつきがえだにみづえさすあきのもみちばまきもてるこすずもゆらにたわやめにわれはあれどもひきよぢてみねもとををにふさたをりわれはもちてゆくきみがかざしに
現代語訳 稲妻が空に光り、九月の時雨が降ると、雁はまだ来て鳴かない、神南備のふもとの清らかな御田屋の、垣の内の田の池の堤に生える、百に足りぬ斎槻の枝に瑞々しい枝をさしのべる秋の赤葉よ。その枝を、手に巻き持った小鈴もゆらゆらと、私はたわやかな少女だけれども、引き寄せ峯のたわみさながらに、たくさん手折って私は持って行く。あなたの挿頭のために。
歌人 作者未詳 /
歌体 長歌
時代区分 不明
部立 雑歌
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】垣内田の池
【故地名読み】かきつたのいけ
【現在地名】奈良県高市郡明日香村
【故地説明】普通名詞。地名として奈良県高市郡明日香村の中とする説がある。
【故地名】神名備
【故地名読み】かむなび
【現在地名】奈良県
【故地説明】飛鳥(神岳)、三輪(三輪山)、龍田(a生駒郡斑鳩町神南の三室山、b同郡三郷町大字立野字西浦の神南備神社のある山)の神名備がある。神座となる山や森をいう普通名詞でどこにでもありうるが、集中の神名備の大部分は飛鳥の神名備をいう。