歌詳細

葦原の瑞穂の国に手向すと天降りましけむ五百万千万神の神代より言ひ継ぎ来たる神奈備の三諸の山は春されば春霞立ち秋行けば紅にほふ神奈備の三諸の神の帯にせる明日香の川の水脈速み生しため難き石枕苔生すまでに新夜の幸く通はむ事計夢に見せこそ剣大刀斎ひ祭れる神にしませば

項目 内容
番号 13-3227
漢字本文 葦原笶水穂之国丹手向為跡天降座兼五百万千万神之神代従云続来在甘南備乃三諸山者春去者春霞立秋往者紅丹穂経甘甞備乃三諸乃神之帯為明日香之河之水尾速生多米難石枕蘿生左右二新夜乃好去通牟事計夢尒令見社剣刀斎祭神二師座者
読み下し文 葦原の瑞穂の国に手向すと天降りましけむ五百万千万神の神代より言ひ継ぎ来たる神奈備の三諸の山は春されば春霞立ち秋行けば紅にほふ神奈備の三諸の神の帯にせる明日香の川の水脈速み生しため難き石枕苔生すまでに新夜の幸く通はむ事計夢に見せこそ剣大刀斎ひ祭れる神にしませば
訓み あしはらのみづほのくににたむけすとあもりましけむいほよろづちよろづかみのかみよよりいひつぎきたるかむなびのみもろのやまははるさればはるかすみたちあきゆけばくれなゐにほふかむなびのみもろおびにせるあすかのかはのみをはやみむしためかたきいはまくらこけむすまでにあらたよのさきくかよはむことはかりいめにみせこそつるぎたちいはひまつれるかみにしまさば
現代語訳 葦原の瑞穂の国に、手向けするとて天から降って来られたという五百万、一千万の神々の神代から語りついで来た、神南備の三諸の山は、春になると春霞が立ち、秋が来ると木々の紅が美しい。その神南備の三諸の神がわが帯とする明日香川の、水の流れが早いので、生えてはそのままためることのできない岩の蘿だが、一方二人の枕には蘿が生えるまで永遠に、来る夜も来る夜もめでたく夫が通って来るような計画を、夢で見せてください。剣太刀の如く大切に祭っている神様でいらっしゃるのだから。
歌人 作者未詳 /
歌体 長歌
時代区分 不明
部立 雑歌
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】葦原の瑞穂の国
【故地名読み】あしはらのみずほのくに
【故地説明】日本国のこと。葦のよく生えた、稲穂などの瑞々しくよく実る国の意。さらにほめて「豊葦原の1500の瑞穂の国「豊葦原の瑞穂の国」とも、また単に「瑞穂の国」ともいう。
【故地名】明日香の川
【故地名読み】あすかのかわ
【現在地名】奈良県高市郡
【故地説明】明日香の川
【故地名】神名備の三諸の山
【故地名読み】かむなびのみもろのやま
【現在地名】奈良県
【故地説明】飛鳥(神岳)、三輪(三輪山)、龍田(a生駒郡斑鳩町神南の三室山、b同郡三郷町大字立野字西浦の神南備神社のある山)の神名備がある。神座となる山や森をいう普通名詞でどこにでもありうるが、集中の神名備の大部分は飛鳥の神名備をいう。
【故地名】神名備の三諸の神
【故地名読み】かむなびのみもろのかみ
【現在地名】奈良県
【故地説明】飛鳥(神岳)、三輪(三輪山)、龍田(a生駒郡斑鳩町神南の三室山、b同郡三郷町大字立野字西浦の神南備神社のある山)の神名備がある。神座となる山や森をいう普通名詞でどこにでもありうるが、集中の神名備の大部分は飛鳥の神名備をいう。
【故地名】三諸
【故地名読み】みもろ
【現在地名】奈良県
【故地説明】神の降りる山の意の普通名詞で、三諸・神名備に同じ。各地にあるが、集中のものはほとんど奈良県内のもので、次の三つがある。(1)桜井市三輪の三輪山。(2)高市郡明日香村の神岳(雷丘)。(3)生駒郡龍田の神名備山。→三室
【故地名】三諸の山
【故地名読み】みもろのやま
【現在地名】奈良県
【故地説明】三室の山のこと。一説に山名として京都府宇治市莵道滋賀谷の三室戸寺のある山。
【地名】葦原の瑞穂の国:三諸の山:三諸:明日香の川
【現在地名】日本国のこと。葦のよく生えた、稲穂などの瑞々しくよく実る国の意。:所在未詳。:所在未詳。:奈良県高市郡明日香村畑の山中に発し、稲淵山の西麓を回り、甘橿丘の東北、藤原宮跡を経て大和川に注ぐ。