歌詳細

せむすべのたづきを知らに岩が根のこごしき道を石床の根延へる門を朝には出で居て嘆き夕へには入り居て思ひ白たへの我が衣手を折り返し独りし寝ればぬばたまの黒髪敷きて人の寝る甘睡は寝ずて大船のゆくらゆくらに思ひつつ我が寝る夜らを数みもあへむかも

項目 内容
番号 13-3274
漢字本文 為須部乃田付■(口+刂)不知石根乃興凝敷道乎石床笶根延門■(口+刂)朝庭出居而嘆夕庭入居而思白栲乃吾衣袖■(口+刂)折反独之寐者野干玉黒髪布而人寐味眠不睡而大舟乃往良行羅二思乍吾睡夜等呼読文将敢鴨
読み下し文 せむすべのたづきを知らに岩が根のこごしき道を石床の根延へる門を朝には出で居て嘆き夕へには入り居て思ひ白たへの我が衣手を折り返し独りし寝ればぬばたまの黒髪敷きて人の寝る甘睡は寝ずて大船のゆくらゆくらに思ひつつ我が寝る夜らを数みもあへむかも
訓み せむすべのたづきをしらにいはがねのこごしきみちをいはとこのねはへるかどをあしたにはいでゐてなげきゆふへにはいりゐておもひしろたへのわがころもでををりかへしひとりしぬればぬばたまのくろかひとのぬるうまいはねずておほぶねのゆくらゆくらにおもひつつわがぬるよらをよみもあへむかも
現代語訳 どうしたらよいか、その方法を知らず、横たわる岩がごつごつした道、床のような岩が広がる道に向かって門を、朝となく夕となく、出ては嘆き入っては物を思い、白栲のわが衣の袖を折り返してはあなたの来るのを願い、一人で寝ていると、まっ黒な黒髪を靡かせて人が寝るという熟睡もできずに、大船の漂うようにゆらゆらと物思いをしつつ寝る夜は、数えあげることもできないなあ。
歌人 作者未詳 /
歌体 長歌
時代区分 不明
部立 相聞歌
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 不明 / 不明