歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻13-3318 |
漢字本文 | 木国之浜因云鰒珠将拾跡云而妹乃山勢能山越而行之君何時来座跡玉桙之道尒出立夕卜乎吾問之可婆夕卜之吾尒告良久吾妹児哉汝待君者奥浪来因白珠邊浪之縁流白珠求跡曽君之不来益拾登曽公者不来益久有今七日許早有者今二日許将有等曽君者聞之二〻勿恋吾妹 |
読み下し文 | 紀伊の国の浜に寄るとふ鮑玉拾はむと言ひて妹の山背の山越えて行きし君いつ来まさむと玉桙の道に出で立ち夕占を我が問ひしかば夕占の我に告らく吾妹子や汝が待つ君は沖つ波来寄する白玉辺つ波の寄する白玉求むとそ君が来まさぬ拾ふとそ君は来まさぬ久にあらばいま七日だみ早くあらばいま二日だみあらむとそ君は聞こししな恋ひそ吾妹 |
訓み | きのくにのはまによるとふあはびたまひりはむといひていものやませのやまこえてゆきしきみいつきまさむとたまほこのみちにいでたちゆふうらをわがとひしかばゆふうらのわれにのらくわぎもこやながまおきつなみきよするしらたまへつなみのよするしらたまもとむとそきみがきまさぬひりふとそきみはきまさぬひさにあらばいまなぬかだみはやくあらばいまふつかだみあらむとそきみはきこししなこひそわぎ |
現代語訳 | 紀の国の浜に寄るという真珠を、拾おうといって、妹の山背の山を越えていったあなたが、いつ帰っていらっしゃるだろうと玉桙の道に出で立ち、夕卜を問うと、夕卜が私に言うことには、「吾妹子よ、お前が待つあの人は、――沖の波や辺つ波が寄せて来る白珠を探していて、帰っていらっしゃらない。拾っていて帰っていらっしゃらない。『帰りまでは遅ければ七日ほど、早ければ二日ほどだろう』とあの人はおっしゃっていた。だからそれほど恋いこがれるな、吾妹よ」という。 |
歌人 | 作者未詳 / |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 不明 |
部立 | 問答(問答歌) |
季節 | なし |
補足 | 不明// |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |
関連地名 | 【故地名】妹の山 【故地名読み】いものやま 【現在地名】和歌山県伊都郡かつらぎ町 【故地説明】→妹背の山(和歌山県伊都郡かつらぎ町大字背の山の背の山(168メートル、紀ノ川北岸)と対岸の同町大字西渋田の妹山(長者屋敷と呼ぶ小丘、124メートル)のこと。→背の山) 【故地名】紀の国 【故地名読み】きのくに 【故地説明】国名。和歌山県と三重県の南、北牟婁の地。 【故地名】背の山 【故地名読み】せのやま 【現在地名】和歌山県伊都郡かつらぎ町 【故地説明】→妹背の山(和歌山県伊都郡かつらぎ町大字背の山の背の山(168メートル、紀ノ川北岸)と対岸の同町大字西渋田の妹山(長者屋敷と呼ぶ小丘、124メートル)のこと。) 【地名】紀伊の国:妹の山:背の山 【現在地名】和歌山:妹山とも。和歌山県伊都郡かつらぎ町西渋田にある山。高さ一二四㍍。紀ノ川の南岸にあり、北岸の背ノ山に対する。:和歌山県伊都郡かつらぎ町笠田にある山。高さ一六七㍍。紀ノ川の北岸にあって、南岸の背ノ山と向き合い、合わせて妹背ノ山と呼ばれて歌に詠まれること |