歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻13-3326 |
漢字本文 | 礒城嶋之日本国尒何方御念食可津礼毛無城上宮尒大殿乎都可倍奉而殿隠隠座者朝者召而使夕者召而使遺之舎人之子等者行鳥之群而待有雖待不召賜者釼刀磨之心乎天雲尒念散之展転土打哭杼母飽不足可聞 |
漢字本文(左注) | 右一首 |
読み下し文 | 磯城島の大和の国にいかさまに思ほしめせかつれもなき城上の宮に大殿を仕へ奉りて殿隠り隠りいませば朝には召して使はし夕には召して使はし使はしし舎人の子らは行く鳥の群がりて待ちあり待てど召したまはねば剣大刀磨ぎし心を天雲に思ひはぶらし臥いまろびひづち泣けども飽き足らぬかも |
読み下し文(左注) | 右は一首 |
訓み | しきしまのやまとのくににいかさまにおもほしめせかつれもなききのへのみやにおほとのをつかへまつりてとのごもりこもりいませばあしたにはめしてつかはしゆふへにはめしてつかはしつかはししとねりゆくとりのむらがりてまちありまてどめしたまはねばつるぎたちとぎしこころをあまくもにおもひはぶらしこいまろびひづちなけどもあきだらぬかも |
現代語訳 | 磯城島の大和の国に、どうお考えになったか、何のゆかりもない城上に、宮として御殿をお作り申し上げ、殿ごもりに隠っていらっしゃるので、朝にもお召し使いになり、夕べにもお召し使いになり、お使いになった舎人の者たちは、空飛ぶ鳥のように群がって待ち、待ちつづけるのに、お召しにならないので、剣太刀のように磨いた利心を、今は天雲の彼方に散らし捨てて、身もだえして涙に泣き濡れるけれども、なお心は休まらないよ。 |
歌人 | 作者未詳 / |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 不明 |
部立 | 挽歌 |
季節 | なし |
補足 | 不明// |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |
関連地名 | 【故地名】城上の宮 【故地名読み】きのえのみや 【現在地名】奈良県北葛城郡広陵町 【故地説明】城上の殯宮に同じ。(明日香皇女、高市皇子などの墓所、所在未詳。「三立岡墓。高市皇子。在二大和国広瀬郡一)(諸陵式)とあり、広陵町大字三吉字大垣内に三立山の名をのこす。このあたり荒墳が多い。一説に同町安部の荒木山古墳。) 【故地名】磯城島 【故地名読み】しきしま 【現在地名】奈良県桜井市 【故地説明】奈良県桜井市金屋付近。長谷の谷の入口をなす一帯。崇神天皇の磯城瑞籬宮、欽明天皇の磯城島金刺宮があった。大和の形容辞に、また大和の意にも用いた。 【故地名】大和の国 【故地名読み】やまとのくに 【故地説明】(倭・日本)大和朝廷の勢力のおよんだ範囲をあらわす語で、奈良県天理市大和(大和神社がある)あたりの地方名から起こり、大和中央平原部、奈良県全体、近畿一帯から日本全国の総名へと発展したという。集中の歌は大和中央平原部・大和国(奈良県全体)・日本国の総名など種々に用いている。 【地名】磯城島大和の国:城上の宮 【現在地名】日本全体。:奈良県北葛城郡広陵町の当りか。 |