歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻13-3330 |
漢字本文 | 隠来之長谷之川之上瀬尒鵜矣八頭漬下瀬尒鵜矣八頭漬上瀬尒年魚矣令咋下瀬之鮎矣令咋麗妹尒鮎遠惜投左乃遠離居而思空不安国嘆空不安国衣社薄其破者継乍物又母相登言玉社者緒之絶薄八十一里喚鶏又物逢登曰又毛不相物者孋尒志有来 |
読み下し文 | こもりくの初瀬の川の上つ瀬に鵜を八つ潜け下つ瀬に鵜を八つ潜け上つ瀬の鮎を食はしめ下つ瀬の鮎を食はしめくはし妹に鮎を惜しみ投ぐるさの遠ざかり居て思ふそら安けなくに嘆くそら安けなくに衣こそばそれ破れぬれば継ぎつつもまたも合ふといへ玉こそは緒の絶えぬればくくりつつまたも合ふといへまたも逢はぬものは妻にしありけり |
訓み | こもりくのはつせのかはのかみつせにうをやつかづけしもつせにうをやつかづけかみつせのあゆをくはしめしもつせのあゆをくはしめくはしいもにあゆををしみなぐるさのとほざかりゐておもふそらやすけなくになげくそらやすけなくにきぬこそはそれやれぬればつぎつつもまたもあふといへたまこそはをのたえぬればくくりつつまたもあふといへまたもあはぬものはつまにしありけり |
現代語訳 | 隠り国の初瀬の川の、上流の瀬に鵜をたくさんもぐらせ、下流の瀬に鵜を多くくぐらせ、上流の瀬の鮎をくわえさせ、下流の瀬の鮎をくわえさせ、くわし――美しい妻のために鮎を大切にする、そんないとしい妻から、遠く射る箭のように遠く離れていて、物を思う身も安らかでなく、嘆く身も穏やかでないのに、衣こそは、さあ破れてしまっても継いでまた合うという、玉こそは紐が切れてもしばってまた合うという。なのにふたたび逢えないものは、妻なのだなあ。 |
歌人 | 作者未詳 / |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 不明 |
部立 | 挽歌 |
季節 | なし |
補足 | 不明// |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |
関連地名 | 【故地名】泊瀬の川 【故地名読み】はつせのかわ 【現在地名】奈良県桜井市 【故地説明】初瀬の北方、長谷寺の東北の山中、桜井市小夫・白木に発し、初瀬で吉隠よりの小流をあわせて西流し、三輪山の裾をめぐって西北に流れ、末は佐保川をあわせて大和川となる初瀬川。 【地名】泊瀬の川 【現在地名】初瀬川。奈良県桜井市初瀬の長谷寺北方の山中に発して、初瀬渓谷を西流し、三輪三南麓を迂回した後、西北に向きを変え、磯城郡川西町で佐保川と合流して大和川となる。 |