歌詳細

さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高嶺の鳴沢のごと

項目 内容
番号 14-3358
漢字本文 佐奴良久波多麻乃緒婆可里古布良久波布自能多可祢乃奈流佐波能其登
漢字本文(左注) 或本歌云、「麻可奈思美/奴良久波思家良久/佐奈良久波/伊豆能多可禰能/奈流佐波奈須与」
一本歌曰、「阿敝良久波/多麻能乎思家也/古布良久波/布自乃多可禰尒/布流由伎奈須毛」
読み下し文 さ寝らくは玉の緒ばかり恋ふらくは富士の高嶺の鳴沢のごと
読み下し文(左注) 或る本の歌に曰はく、「ま愛しみ/寝らくはしけらく/さ鳴らくは/伊豆の高嶺の/鳴沢なすよ」
一本の歌に曰はく、「逢へらくは/玉の緒しけや/恋ふらくは/富士の高嶺に/降る雪なすも」
訓み さぬらくはたまのをばかりこふらくはふじのたかねのなるさはのごと
現代語訳 共寝することは玉の紐ほどに短く、別れて恋しいことは富士の鳴沢のようにはげしいことよ。
現代語訳(左注) 或ル本ノ歌ニ曰ワク、いとしく思って共寝することは僅かで、人の噂は伊豆の高嶺の鳴沢のようにとどろくよ。
一本ノ歌ニ曰ワク、あの子と逢う間の短さは玉の紐ほどにも及ばないのに、別れて恋しいことは、富士の高嶺に降る雪のように断え間ないよ。
歌人 作者未詳 /
歌体 短歌
時代区分 不明
部立 相聞歌
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】伊豆の高嶺
【故地名読み】いずのたかね
【現在地名】静岡県
【故地説明】伊豆の地のどこかの山。伊豆山・天城山・富士山・日金山などの説がある。
【故地名】鳴沢
【故地名読み】なるさわ
【故地説明】所在未詳。(1)山梨県南都留郡鳴沢村(西湖の南)。(2)富士山西部の大沢と呼ばれる放射谷(剣が峰のすぐ下、幅400メートル、深さ100メートル、長さ10キロ以上に及ぶ崩壊沢)。富士の噴火口の轟鳴とする説もある。或本歌は伊豆で、所在未詳。
【故地名】富士の高嶺
【故地名読み】ふじのたかね
【故地説明】静岡・山梨両県にまたがる富士山。
【地名】富士の高嶺:鳴沢
【現在地名】富士山。:音高く鳴り響き流れる谷川の意で、例歌の或本歌の「伊豆の高嶺の鳴沢なすよ」のほうはその意味で用いたと思われる。しかし、おもて歌の「富士の高嶺の鳴沢のごと」のそれは、富士山西部の放射谷大沢をいうのであろう。大沢は富士山頂剣ヶ峰のすぐ下から発し、幅約四