歌詳細

天皇の遠の朝廷と韓国に渡る我が背は家人の斎ひ待たねか正身かも過ちしけむ秋さらば帰りまさむとたらちねの母に申して時も過ぎ月も経ぬれば今日か来む明日かも来むと家人は待ち恋ふらむに遠の国いまだも着かず大和をも遠く離りて岩が根の荒き島根に宿りする君

項目 内容
番号 15-3688
漢字本文(題詞) 到壹岐嶋、雪連宅満忽遇鬼病死去之時作歌一首〔并短歌〕
漢字本文 須売呂伎能等保能朝庭等可良国尒和多流和我世波伊敝妣等能伊波比麻多祢可多太未可母安夜麻知之家牟安吉佐良婆可敝里麻左牟等多良知祢能波〻尒麻乎之弖等伎毛須疑都寄母倍奴礼婆今日可許牟明日可蒙許伊敞妣等波麻知故布良牟尒等保能久尒伊麻太毛都可受也麻等乎毛登保久左可里弖伊波我祢乃安良伎之麻祢尒夜杼理須流君
読み下し文(題詞) 壱岐島に到りて、雪連宅満の忽ちに鬼病に遇ひて死去りし時に作れる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 天皇の遠の朝廷と韓国に渡る我が背は家人の斎ひ待たねか正身かも過ちしけむ秋さらば帰りまさむとたらちねの母に申して時も過ぎ月も経ぬれば今日か来む明日かも来むと家人は待ち恋ふらむに遠の国いまだも着かず大和をも遠く離りて岩が根の荒き島根に宿りする君
訓み すめろきのとほのみかどとからくににわたるわがせはいへびとのいはひまたねかただみかもあやまちしけむあきさらばかへりまさむとたらちねのははにまをしてときもすぎつきもへぬればけふかこむあすかいへびとはまちこふらむにとほのくにいまだもつかずやまとをもとほくさかりていはがねのあらきしまねにやどりするきみ
現代語訳 天皇が支配する遠い朝廷として韓国に渡ろうとするあなたは、家の人が潔斎して待たないからか、あるいはあなた自身が何か過ちをしたからか、秋になったら帰りましょうと、足乳根の母上にも申し上げ、時もたち月も過ぎていったので、今日帰るだろうか、明日は帰って来るだろうかと家人が待ち遠しく思っているのに、遠い韓国にまだ着きもせず、一方大和をも遠く離れて、この岩石も荒々しい島に旅宿りする、そんなあなたよ。
歌人 作者未詳 /
歌体 長歌
時代区分 第4期
部立 なし
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 壹岐 / 長崎
関連地名 【故地名】壱岐の島
【故地名読み】いきのしま
【現在地名】長崎県
【故地説明】国名。長崎県の壱岐島。
【故地名】韓国
【故地名読み】からくに
【故地説明】外国の総称。朝鮮および中国をいう。新羅をさす場合もある。カラはもと朝鮮半島南部の一国の称。
【故地名】大和
【故地名読み】やまと
【故地説明】(倭・日本)大和朝廷の勢力のおよんだ範囲をあらわす語で、奈良県天理市大和(大和神社がある)あたりの地方名から起こり、大和中央平原部、奈良県全体、近畿一帯から日本全国の総名へと発展したという。集中の歌は大和中央平原部・大和国(奈良県全体)・日本国の総名など種々に用いている。
【地名】韓国:大和
【現在地名】朝鮮半島南部の旧称。:奈良