歌詳細

春日を春日の山の高座の三笠の山に朝さらず雲居たなびき容鳥の間なくしば鳴く雲居なす心いさよひその鳥の片恋のみに昼はも日のことごと夜はも夜のことごと立ちて居て思ひそあがする逢はぬ児故に

項目 内容
番号 3-372
漢字本文(題詞) 山部宿禰赤人登春日野作歌一首〔并短歌〕
漢字本文 春日乎春日山乃高座之御笠乃山尒朝不離雲居多奈引容鳥能間無數鳴雲居奈須心射左欲比其鳥乃片戀耳二晝者毛日之盡夜者毛夜之盡立而居而念曽吾為流不相兒故荷
読み下し文(題詞) 山部宿禰赤人の春日野に登りて作れる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 春日を春日の山の高座の三笠の山に朝さらず雲居たなびき容鳥の間なくしば鳴く雲居なす心いさよひその鳥の片恋のみに昼はも日のことごと夜はも夜のことごと立ちて居て思ひそあがする逢はぬ児故に
訓み はるひをかすがのやまのたかくらのみかさのやまにあささらずくもゐたなびきかほとりのまなくしばなくくもゐなすこころいさよひそのとりのかたこひのみにひるはもひのことごとよるはもよのことごとたちてゐておもひそわがするあはぬこゆゑに
現代語訳 春の日の霞む春日山の、大君の御笠――三笠の山に、朝は常に雲がかかり、郭公(かっこう)が絶えず鳴いている。その雲のように心もためらい、この鳥のように片恋ばかりに、昼は一日中、夜は一晩中、立っても座っても物思いをすることだ。逢えないあの子のために。
歌人 山部宿禰赤人 / やまべのすくねあかひと
歌人別名 山部宿禰明人
歌体 長歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節 なし
補足 山部赤人/やまべのあかひと/山部赤人
詠み込まれた地名 大和平城京 / 奈良
関連地名 【故地名】春日野
【故地名読み】かすがの
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市街地東方の春日山の西麓一帯。
【故地名】春日の山
【故地名読み】かすがのやま
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市街地東方の春日山・御蓋山・若草山など一帯の山彙の総称。南は高円山に連なり、主峰は花山(497メートル)。
【故地名】三笠の山
【故地名読み】みかさのやま
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市東部、春日大社後方、春日山の主峰の前面西方にある御蓋山(283メートル)。
【地名】春日の山:三笠の山
【現在地名】奈良市東方の春日・御蓋・若草などの山地一帯の総称:奈良市街東方、春日大社後方の円錐形の山