歌詳細

春さらば挿頭にせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも〔その一〕

項目 内容
番号 16-3786
漢字本文(部立) 有由縁并雜歌
漢字本文(題詞) 昔者有娘子。字曰櫻兒也。于時有二壮士。共誂此娘、而捐生挌競、貪死相敵。
於是娘子歔欷曰、従古來今、未聞未見、一女之身、徃適二門矣。
方今壮士之意有難和平。不如妾死、相害永息。尒乃尋入林中、懸樹経死。
其兩壮士、不敢哀慟、血泣漣襟、各陳心緒作歌二首
漢字本文 春去者插頭尒将為跡我念之桜花者散去流香聞〔其一〕
読み下し文(部立) 由縁ある、并せて雑歌
読み下し文(題詞) 昔者娘子ありき。字を桜児と曰ふ。時に二の壮士あり。共にこの娘を誂ひて、生を揖てて挌競ひ、死を貪りて相敵る。
ここに娘子歔欷きて曰はく「古より今に至るまで、聞かず、見ず、一の女の身の、二つの門に往適くといふことを。
方今、壮士の意和平び難きものあり。妾が死にて、相害ふこと永く息まむには如かじ」といふ。すなはち林の中に尋ね入りて、樹に懸りて経き死にき。
その両の壮士哀慟に敢へずして、血の泣襟に漣れ、各々心緒を陳べて作れる歌二首
読み下し文 春さらば挿頭にせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも〔その一〕
訓み はるさらばかざしにせむとわがもひしさくらのはなはちりにけるかも〔そのいち〕
現代語訳(部立) 由縁ある、并せて雑歌
現代語訳(標目) 由縁ある、并せて雑歌
現代語訳(題詞) 由縁ある、并せて雑歌
現代語訳(序文など) 由縁ある、并せて雑歌
現代語訳 春になったら挿頭(かざし)にしようと思っていた桜の花は、散ってしまったなあ。
歌人 壮士 (1) / をとこ
歌体 短歌
時代区分 不明
部立 有由縁
季節 なし
補足 不明//
詠み込まれた地名 不明 / 不明