歌詳細

駒造る土師の志婢麻呂白くあればうべ欲しからむその黒色を

項目 内容
番号 16-3845
漢字本文(題詞) 答歌一首
漢字本文 造駒土師乃志婢麻呂白久有者諾欲将有其黒色乎
漢字本文(左注) 右歌者、傳云有大舎人土師宿祢水通、字曰志婢麻呂也。
於時大舎人巨勢朝臣豊人、字曰正月麻呂、与巨勢斐太朝臣[名字忘之也。
嶋村大夫之男也]兩人、並此彼皃黒色焉。於是、土師宿祢水通作斯歌嗤咲者。
而巨勢朝臣豊人、聞之、即作和歌酬咲也。
読み下し文(題詞) 答へたる歌一首
読み下し文 駒造る土師の志婢麻呂白くあればうべ欲しからむその黒色を
読み下し文(左注) 右の歌は、伝へて云はく「大舎人土師宿祢水通といへるあり、字を志婢麻呂といふ。
時に大舎人巨勢朝臣豊人、字は正月麻呂といへると巨勢斐太朝臣[名字は忘る。
島村大夫の男なり]との両人、並にこれそれの貌黒色なり。ここに、土師宿祢水通。この歌を作りて嗤笑ふ。
しかして巨勢朝臣豊人、聞きて、すなはち和ふる歌を作りて酬へ笑ふ」といへり。
訓み こまつくるはじのしびまろしろくあればうべほしからむそのくろいろを
現代語訳 駒の形をつくる土師の志婢麿は色が白いので、なるほど欲しいだろうな、その黒い色を。
現代語訳(左注) 右の歌は伝えて言うには「大舎人の土師宿禰水通という者がいた。呼び名を志婢麿といった。
当時、大舎人の巨勢朝臣豊人―呼び名は正月麿という―と巨勢斐太朝臣〔名・呼び名はわからない。
島村大夫の息である〕との二人は、ともにどちらも色が黒かった。そこで土師宿禰水通がこの歌を作って笑った。
そして巨勢朝臣豊人がこれを聞き、そこで和歌を作って答え笑った」という。
歌人 巨勢朝臣豊人 / こせのあそみとよひと
歌人別名 正月麻呂, 巨勢及小黒, 正月麻呂 / むつきまろ
歌体 短歌
時代区分 不明
部立 有由縁
季節 なし
補足 巨勢豊人/こせのとよひと/巨勢豊人
詠み込まれた地名 不明 / 不明