歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻16-3857 |
漢字本文(題詞) | 戀夫君歌一首 |
漢字本文 | 飯喫騰味母不在雖行往安久毛不有赤根佐須君之情志忘可祢津藻 |
漢字本文(左注) | 右歌一首、傳云佐為王有近習婢也。于時、宿直不遑、夫君難遇、感情馳結、係戀實深。 於是當宿之夜、夢裏相見、覺寤探抱、曽無觸手。尒乃哽咽歔欷、高聲吟詠此歌。 因王聞之哀慟、永免侍宿也。 |
読み下し文(題詞) | 夫の君に恋ひたる歌一首 |
読み下し文 | 飯食めどうまくもあらず寝ぬれども安くもあらずあかねさす君が心し忘れかねつも |
読み下し文(左注) | 右の歌一首は、伝へて云はく「佐為王に近習の婢ありき。時に、宿直暇あらずして、夫の君に遇ひ難く、感情馳せ結ぼほれ、係恋実に深し。 ここに当宿の夜、夢の裏に相見、覚き悟めて探り抱くに、かつて手に触るることなし。すなはち哽咽び歔欷きて、高声にこの歌を吟詠へり。 因りて王聞きて哀しび慟みて、永く侍宿を免しき」といへり。 |
訓み | いひはめどうまくもあらずいぬれどもやすくもあらずあかねさすきみがこころしわすれかねつも |
現代語訳 | ご飯を食べてもおいしくはない。寝ても安眠はできない。うるわしいあなたの心が忘れられないよ。 |
現代語訳(左注) | 右の歌一首は伝えて言うには「佐為王に近く仕える侍女がいた。当時宿直が続いて夫と逢うことができず、心が落着かずに、長く恋い慕う心が深かった。 そこで宿直の夜、夢の中で夫を見、目をさまして手を伸ばし抱こうとすると、手に触れるものは何もなかった。女はむせび泣いて声高くこの歌を口ずさんだ。 これを聞いた王は女をあわれんで、長く宿直を免じた」という。 |
歌人 | 婢 / まかたち |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 不明 |
部立 | 有由縁 |
季節 | なし |
補足 | 不明//不明 |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |