歌詳細

春の花今は盛りに匂ふらむ折りてかざさむ手力もがも

項目 内容
番号 17-3965
漢字本文(題詞) 贈掾大伴宿祢池主悲歌二首
忽沈枉疾、累旬痛苦。祷恃百神、且得消損。而由身體疼羸、筋力怯軟、未堪展謝。
係戀弥深。方今、春朝春花、流馥於春苑、春暮春鴬、囀聲於春林。
對此節候琴可翫矣。雖有乗興之感、不耐策杖之勞。
獨臥帷幄之裏、聊作寸分之歌、軽奉机下、犯解玉頤。其詞曰、
漢字本文 波流能波奈伊麻波左加里尒仁保布良牟乎里氐加射佐武多治可良毛我母
読み下し文(題詞) 掾大伴宿祢池主に贈れる悲しびの歌二首
忽ちに枉疾に沈み、旬を累ねて痛み苦しむ。百神を祷み恃みて、且消損を得たり。しかも由身体疼み羸れ、筋力怯軟にして、いまだ展謝に堪へず。
係恋弥深し。方今、春朝には春花、馥を春苑に流へ、春暮には春鶯、声を春林に囀る。
この節候に対ひて、琴翫ぶべし。興に乗る感あれども、杖を策く労に耐へず。
独り帷幄の裏に臥して、聊かに寸分の歌を作り、軽しく机下に奉り、玉頤を解かむことを犯す。その詞に曰はく、
読み下し文 春の花今は盛りに匂ふらむ折りてかざさむ手力もがも
訓み はるのはないまはさかりににほふらむをりてかざさむたぢからもがも
現代語訳 春の花は今を盛りに咲き誇っているでしょう。折って挿頭しにする手力がほしいことです。
歌人 大伴宿禰家持 / おほとものすくねやかもち
歌人別名 少納言, 家持, 越中国守, 大伴家持, 守, 少納言, 大帳使, 家持, 主人 / せうなごん, やかもち
歌体 短歌
時代区分 第4期
部立 なし
季節
補足 大伴家持/おほとものやかもち/大伴家持
詠み込まれた地名 越中 / 富山