歌詳細

高御座天の日継と天皇の神の命の聞し食す国のまほらに山をしもさはに多みと百鳥の来居て鳴く声春されば聞きのかなしもいづれをか別きてしのはむ卯の花の咲く月立てばめづらしく鳴くほととぎすあやめぐさ玉貫くまでに昼暮らし夜渡し聞けど聞くごとに心つごきてうち嘆きあはれの鳥と言はぬ時なし

項目 内容
番号 18-4089
漢字本文(題詞) 獨居幄裏、遥聞霍公鳥喧作歌一首〔并短歌〕
漢字本文 高御座安麻乃日継登須売呂伎能可未能美許登能伎己之乎須久尒能麻保良尒山乎之毛佐波尒於保美等百鳥能来居弖奈久許恵春佐礼婆伎吉乃可奈之母伊豆礼乎可和枳弖之努波无宇能花乃佐久月多弖婆米都良之久鳴保等登芸須安夜女具佐球奴久麻泥尒比流久良之欲和多之伎氣騰伎久其等尒許己呂都呉枳弖宇知奈氣伎安波礼能登里等伊波奴登枳奈思
読み下し文(題詞) 独り幄の裏に居て、遥かに霍公鳥の鳴くを聞きて作れる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 高御座天の日継と天皇の神の命の聞し食す国のまほらに山をしもさはに多みと百鳥の来居て鳴く声春されば聞きのかなしもいづれをか別きてしのはむ卯の花の咲く月立てばめづらしく鳴くほととぎすあやめぐさ玉貫くまでに昼暮らし夜渡し聞けど聞くごとに心つごきてうち嘆きあはれの鳥と言はぬ時なし
訓み たかみくらあまのひつぎとすめろきのかみのみことのきこしをすくにのまほらにやまをしもさはにおほみとももとりのきゐてなくこゑはるさればききのかなしもいづれをかわきてしのはむうのはなのさくつきたてばめづらしくなくほととぎすあやめぐさたまぬくまでにひるくらしよわたしきけどきくごとにこころつごきてうちなげきあはれのとりといはぬときなし
現代語訳 高御座にあって、天日をうけ嗣ぐものとして、天皇たる神の命がお治めになる国、この秀れた国土には山があちこちに多いので、いろいろな鳥がやって来て鳴く。その声は春になると聞いていてかわいいことよ。どの声がいいというのでもないが、中でも卯の花の咲く月になると、愛らしく鳴くほととぎすは、菖蒲草を薬玉に通す五月まで、昼は一日中、夜は一晩中聞いても聞くたびに心が動いて感嘆し、興尽きない鳥だといわない時はない。
歌人 大伴宿禰家持 / おほとものすくねやかもち
歌人別名 少納言, 家持, 越中国守, 大伴家持, 守, 少納言, 大帳使, 家持, 主人 / せうなごん, やかもち
歌体 長歌
時代区分 第4期
部立 なし
季節
補足 大伴家持/おほとものやかもち/大伴家持
詠み込まれた地名 越中 / 富山