歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻18-4132 |
漢字本文(題詞) | 更来贈歌二首 依迎驛使事、今月十五日、到来部下加賀郡境。面蔭見射水之郷、戀緒結深海之村。 身異胡馬、心悲北風。乗月徘、曽無所為。 稍開来封、其辞云々者、先所奉書、返畏度疑歟。 僕作嘱羅、且惱使君。夫、乞水得酒、従来能口。論時合理、何題強吏乎。 尋誦針袋詠、詞泉酌不竭、抱膝獨咲、能旅愁。陶然遣日。何慮何思。短筆不宣 勝寶元年十二月十五日 徴物下司 謹上 不伏使君 記室 別奉云々歌二首 |
漢字本文 | 多〻佐尒毛可尒母与己佐母夜都故等曽安礼波安利家流奴之能等乃度尒 |
読み下し文(題詞) | 更に来贈せる歌二首 駅使を迎ふる事に依りて、今月十五日、部下の加賀郡の境に到来る。面蔭に射水の郷を見、恋緒は深海の村に結ばゆ。 身は胡馬に異れど、心は北風に悲しぶ。月に乗じて徘徊り、かつて為す所なし。 稍く来封を開くに、その辞云々とあるは、先に奉る所の書の、返りて畏る、疑に度れるかと。 僕嘱羅を作し、且使君を悩ます。それ、水を乞ひて酒を得るは、従来より能口なり。時を論じ、理に合はば、何ぞ強吏と題さむや。 尋ぎて針袋の詠を誦するに、詞の泉酌めども竭きず、膝を抱きて独り笑ひ、能く旅の愁をく。陶然として日を遣り。何をか慮らむ、何をか思はむ。短筆不宣 勝宝元年十二月十五日 物を徴りし下司 謹上 不伏の使君 記室 別に奉る云々歌二首 |
読み下し文 | 縦さにもかにも横さも奴とそ吾はありける主の殿戸に |
訓み | たたさにもかにもよこさもやつことそあれはありけるぬしのとのどに |
現代語訳 | 縦からも横からも、とにかく私は奴でありました。主たるあなたの殿の御門に。 |
歌人 | 大伴宿禰池主 / おほとものすくねいけぬし |
歌体 | 短歌 |
時代区分 | 第4期 |
部立 | なし |
季節 | 冬 |
補足 | 大伴池主/おほとものいけぬし/大伴池主 |
詠み込まれた地名 | 越中 / 富山 |
関連地名 | 【故地名】射水の郷 【故地名読み】いみずのさと 【現在地名】富山県 【故地説明】巻18-4132歌は越中国庁(高岡市伏木古国府の勝興寺のあたり)の地をいう。 【故地名】加賀郡 【故地名読み】かがのこおり 【現在地名】石川県 【故地説明】越前国。石川県河北郡・金沢市・石川郡の地。 【故地名】胡 【故地名読み】こ 【故地説明】中国の北方、蒙古地方。 【故地名】深見村 【故地名読み】ふかみのむら 【現在地名】石川県河北郡津幡町 【故地説明】石川県河北郡津幡町付近にあった宿駅。越前国加賀郡の一村で越中国と接し、 礪波山越の道と能登に出る道との分岐点にあたる。 |