歌詳細

あらたまの年行き更り春されば花のみにほふあしひきの山下とよみ落ち激ち流る辟田の川の瀬に鮎子さ走る島つ鳥鵜飼ともなへ篝さしなづさひ行けば吾妹子が形身がてらと紅の八入に染めておこせたる衣の裾も通りて濡れぬ

項目 内容
番号 19-4156
漢字本文(題詞) 潜〓歌一首〔并短歌〕
漢字本文 荒玉能年徃更春去者花耳尒保布安之比奇能山下響堕多藝知流辟田乃河瀬尒年魚兒狭走嶋津鳥鸕養等母奈倍可我理左之奈頭佐比由氣婆吾妹子我可多見我氐良等紅之八塩尒染而於己勢多流服之襴毛等寶利氐濃礼奴
読み下し文(題詞) 鵜を潜けたる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 あらたまの年行き更り春されば花のみにほふあしひきの山下とよみ落ち激ち流る辟田の川の瀬に鮎子さ走る島つ鳥鵜飼ともなへ篝さしなづさひ行けば吾妹子が形身がてらと紅の八入に染めておこせたる衣の裾も通りて濡れぬ
訓み あらたまのとしゆきかはりはるさればはなのみにほふあしひきのやましたとよみおちたぎちながるさきたのかはのせにあゆこさばしるしまつとりうかひともなへかがりさしなづさひゆけばわぎもこがかたみがてらとくれなゐのやしほにそめておこせたるころものすそもとほりてぬれぬ
現代語訳 あらたまの年が改まって春になると、花が一面に美しいあしひきの山の、その下に音を響かせて落ち激ち流れる辟田川の瀬には、年魚の子が走りまわる。そこで島つ鳥鵜飼の者をつれ、篝火を燃やしつつ流れを歩いてゆくと、わが妻が形見にもとて、紅色に濃く染めて送ってくれた衣も、裾が濡れとおることだ。
歌人 大伴宿禰家持 / おほとものすくねやかもち
歌人別名 少納言, 家持, 越中国守, 大伴家持, 守, 少納言, 大帳使, 家持, 主人 / せうなごん, やかもち
歌体 長歌
時代区分 第4期
部立 なし
季節
補足 大伴家持/おほとものやかもち/大伴家持
詠み込まれた地名 越中 / 富山
関連地名 【故地名】辟田の川
【故地名読み】さきたのかわ
【現在地名】富山県高岡市
【故地説明】(1)西田の紅葉川。(2)太田の紅葉川(現在は埋め立てによりなし)(3)伏木国分加古川か。
【地名】辟田の川
【現在地名】富山県高岡市伏木から遠くない川であろうが、所在未詳。