歌詳細
項目 | 内容 |
---|---|
番号 | 巻19-4177 |
漢字本文(題詞) | 四月三日、贈越前判官大伴宿祢池主霍公鳥歌、不勝感舊之意述懐一首〔并短歌〕 |
漢字本文 | 和我勢故等手携而暁来者出立向暮去者振放見都追念暢見奈疑之山尒八峯尒波霞多奈婢伎谿敝尒波海石榴花〓宇良悲春之過者霍公鳥伊也之伎喧奴獨耳聞婆不怜毛君与吾隔而戀流利波山飛超去而明立者松之狭枝尒暮去者向月而菖蒲玉貫麻泥尒鳴等余米安寐不令宿君乎奈夜麻勢 |
読み下し文(題詞) | 四月三日に、越前判官大伴宿祢池主に贈れる霍公鳥の歌、旧きを感づる意に勝へずして懐を述べたる一首〔并せて短歌〕 |
読み下し文 | 我が背子と手携はりて明け来れば出で立ち向かひ夕さればふりさけ見つつ思ひ暢べ見和ぎし山に八つ峰には霞たなびき谷辺には椿花咲きうら悲し春し過ぐればほととぎすいやしき鳴きぬ独りのみ聞けばさぶしも君と我隔りて恋ふる砺波山飛び越え行きて明け立たば松のさ枝に夕さらば月に向ひてあやめぐさ玉貫くまでに鳴きとよめ安眠寝しめず君を悩ませ |
訓み | わがせことてたづさはりてあけくればいでたちむかひゆふさればふりさけみつつおもひのべみなぎしやまにやつをにはかすみたなびきたにへにはつばきはなさきうらがなしはるしすぐればほととぎすいやしきなきぬひとりのみきけばさぶしもきみとわれへなりてこふるとなみやまとびこえゆきてあけたたばまつのさえだにゆふさらばつきにむかひてあやめぐさたまぬくまでになきとよめやすいねしめずきみをなやませ |
現代語訳 | あなたと手を携えて、夜があけると外に出て向き立ち、日がくれると遠く眺めつつ心を伸べ、見ては心を安めた山には、峰々に霞がたちこめ、谷間には椿が花を咲かせて、心悲しくも春がすぎていったので、今や霍公鳥が一層しきりに鳴いている。それを一人だけで聞くと寂しいことよ。あなたと私とを距てて恋しくさせる礪波山を飛び越えてゆき、夜明けには松の小枝に、夜になれば月に向かって、菖蒲を玉に貫く端午(たんご)の日までも鳴き声を響かせて、安眠させずにあなたを悩ませよ、霍公鳥よ。 |
歌人 | 大伴宿禰家持 / おほとものすくねやかもち |
歌人別名 | 少納言, 家持, 越中国守, 大伴家持, 守, 少納言, 大帳使, 家持, 主人 / せうなごん, やかもち |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 第4期 |
部立 | なし |
季節 | 夏 |
補足 | 大伴家持/おほとものやかもち/大伴家持 |
詠み込まれた地名 | 越中 / 富山 |
関連地名 | 【故地名】越前 【故地名読み】こしのみちのくち 【現在地名】福井県 【故地説明】国名。福井県東部の地。国府は武生市にあった。 【故地名】砺波山 【故地名読み】となみやま 【現在地名】富山県小矢部市 【故地説明】小矢部市西南方、倶利伽羅峠のある山。越中と加賀との境。 【地名】礪波山 【現在地名】礪波山は富山県小矢部市石動町西南の倶利伽藍峠のある山。 |