歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻3-423 |
漢字本文(題詞) | 同石田王卒之時、山前王哀傷作歌一首 |
漢字本文 | 角障經石村之道乎朝不離将帰人乃念乍通計萬口波霍公鳥鳴五月者菖蒲花橘乎玉尒貫〔一云、貫交〕蘰尒将為登九月能四具礼能時者黄葉乎折插頭跡延葛乃弥遠永〔一云、田葛根乃弥遠長尒〕萬世尒不絶等念而〔一云、大舟之念憑而〕将通君乎婆明日従〔一云、君乎従明日者〕外尒可聞見牟 |
漢字本文(左注) | 右一首、或云、柿本朝臣人麻呂作。 |
読み下し文(題詞) | 同じ石田王の卒りし時に、山前王の哀傷びて作れる歌一首 |
読み下し文 | つのさはふ磐余の道を朝さらず行きけむ人の思ひつつ通ひけまくはほととぎす鳴く五月には菖蒲草花橘を玉に貫き〔一に云ふ、貫き交へ〕かづらにせむと九月の時雨の時は黄葉を折りかざさむと延ふ葛のいや遠永く〔一に云ふ、田葛の根のいや遠長に〕万世に絶えじと思ひて〔一に云ふ、大船の思ひ頼みて〕通ひけむ君をば明日ゆ〔一に云ふ、君を明日ゆは〕外にかも見む |
読み下し文(左注) | 右の一首は、或は云はく、柿本朝臣人麻呂の作といへり。 |
訓み | つのさはふいはれのみちをあささらずゆきけむひとのおもひつつかよひけまくはほととぎすなくさつきにはあやめぐさはなたちばなをたまにぬき〔いつにいふ、ぬきまじへ〕かづらにせむとながつきのしぐれのときはもみちばををりかざさむとはふくずのいやとほながく〔いつにいふ、くずのねのいやとほながに〕よろづよにたえじとおもひて〔いつにいふ、おほふねのおもひたのみて〕かよひけむきみをばあすゆ〔いつにいふ、きみをあすゆは〕よそにかもみむ |
現代語訳 | 岩石の多い磐余の道を毎朝通って行ったあなたが、通いながら思われたことは、ほととぎすの鳴く五月には菖蒲や橘の花を玉のように緒につらねて〔こもごもにつらね〕鬘にしようと、九月の時雨の時期には黄葉を折って髪に飾ろうと、蔓をのばす葛のようにいっそう長く〔葛の根のようにいっそう長く〕、万代の後までそうし続けようと思って〔大船のように頼りに思って〕通っただろうあなたを、明日からは他界の人として見ることだろうか。 |
歌人 | 山前王 / やまくまのおほきみ |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 不明 |
部立 | 挽歌 |
季節 | なし |
補足 | 山前王/やまさきのおほきみ/山前王:柿本人麻呂 |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |
関連地名 | 【故地名】磐余の道 【故地名読み】いわれのみち 【現在地名】奈良県桜井市 【故地説明】桜井市谷(磐余山口神社がある)の西南方の丘陵(俗称東光寺山)か。 【地名】磐余の道 【現在地名】飛鳥から奈良県桜井市南西部から橿原市香久山の東北麓にかけての一帯に至る道の称 |