歌詳細

千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば

項目 内容
番号 4-528
漢字本文 千鳥鳴佐保乃河門乃瀬乎広弥打橋渡須奈我来跡念者
漢字本文(左注) 右、郎女者、佐保大納言卿之女也。初嫁一品穂積皇子、被寵無儔。
而皇子薨之後時、藤原麻呂大夫娉之郎女焉。郎女、家於坂上里。仍族氏号曰坂上郎女也。
読み下し文 千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば
読み下し文(左注) 右、郎女は、佐保大納言卿の女なり。初め一品穂積皇子に嫁ぎ、寵びをうくること類ひなかりき。
皇子薨りましし後に、藤原麻呂大夫、この郎女を娉へり。郎女は、坂上の里に家む。仍りて族氏号けて坂上郎女といへり。
訓み ちどりなくさほのかはとのせをひろみうちはしわたすながくとおもへば
現代語訳 千鳥の鳴く佐保川の渡りは瀬が広いので、板を打って橋を作っておきます。末長くあなたが来ると思うので。
現代語訳(左注) 右の郎女は大伴安麻呂の娘である。最初一品の穂積皇子と結婚し、たいへん可愛がられた。皇子の死後、藤原麻呂が求婚した。郎女は坂上の里に住んでいたので一族の者は、坂上郎女とよんだ。
歌人 大伴坂上郎女 / おほとものさかのうへのいらつめ
歌人別名 坂上郎女, 大伴郎女, 郎女, 大伴宿禰坂上郎女, 大伴氏坂上郎女, 佐保大納言卿之女, 母, 姑
歌体 短歌
時代区分 第3期
部立 相聞歌
季節 なし
補足 大伴坂上郎女/おほとものさかのうへのいらつめ/大伴坂上郎女【大伴郎女】
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】坂上の里
【故地名読み】さかのうえのさと
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市法華寺町北町あたりか。磐之媛命の平城坂上陵がある。一説に生駒郡三郷町大字立野の坂上。
【故地名】佐保
【故地名読み】さほ
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市北部。佐保川の北側、奈良市法蓮町(通称佐保・佐保田町)・法華寺町一帯の地。平城宮の東北郊。貴族の住宅地で、長屋王の邸宅「作宝楼」などがあった。
【故地名】佐保の川
【故地名読み】さほのかわ
【現在地名】奈良県奈良市
【故地説明】奈良市東方の春日山中より発し、北の山裾を迂回して、市街の北郊で吉城川をあわせ、佐保を西流し、法華寺の南で南流し、率川・能登川をあわせ、大和郡山を過ぎ、磯城郡川西町大字吐田で初瀬川に合して大和川を注ぐ川。
【地名】佐保の川門
【現在地名】奈良市春日山に発し若草山を北麓を回って佐保を西流し、法蓮寺の南で南流、大和郡山市を経て磯城郡川西町北吐田で初瀬川と合流、大和川に注ぐ川への下り口