歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻5-794 |
漢字本文(題詞) | 日本挽歌一首 |
漢字本文 | 大王能等保乃朝庭等斯良農比筑紫国尒泣子那須斯多比枳摩斯提伊企陀尒母伊摩陀夜周米受年月母伊摩他阿良祢婆許〻呂由母於母波奴阿比陀尒宇知那毗枳許夜斯努礼伊波牟須幣世武須幣斯良尒石木乎母刀比佐氣斯良受伊幣那良婆迦多知波阿良牟乎宇良売斯企伊毛乃美許等能阿礼乎婆母伊可尒世与等可尒保鳥能布多利那良毗為加多良比斯許〻呂曽牟企弖伊幣社可利伊摩須 |
読み下し文(題詞) | 日本挽歌一首 |
読み下し文 | 大君の遠の朝廷としらぬひ筑紫の国に泣く子なす慕ひ来まして息だにもいまだ休めず年月もいまだあらねば心ゆも思はぬ間にうちなびき臥やしぬれ言はむすべせむすべ知らに石木をも問ひ放け知らず家ならばかたちはあらむを恨めしき妹の命の我をばもいかにせよとかにほ鳥の二人並び居語らひし心そむきて家離りいます |
訓み | おほきみのとほのみかどとしらぬひつくしのくにになくこなすしたひきましていきだにもいまだやすめずとしつきもいまだあらねばこころゆもおもはぬあひだにうちなびきこやしぬれいはむすべせむすべしらにいはきをもとひさけしらずいへならばかたちはあらむをうらめしきいものみことのあれをばもいかにせよとかにほどりのふたりならびゐかたらひしこころそむきていへざかりいます |
現代語訳 | 大君の遠い朝廷として、知らぬ日の国筑紫に、わが妻は泣く子のごとく私を慕って来て、息もまだ休める暇なく、年月もまだたっていないので、心から睦みあうこともないうちに、病の床に倒れてしまったことよ。言いようもなくする術もなく、石や木に問うてもせんなく、家にいたら妻は生き生きとした姿も見せるだろうのに、うらめしい妻は、私をどうせよというのか。鳰鳥のように二人つれそって語り合った心にそむいて家を遠ざかることよ。 |
歌人 | 山上臣憶良 / やまのうへのおみおくら |
歌人別名 | 憶良, 良, 憶良, 憶良臣, 憶良大夫, 山上憶良, 山上憶良臣, 山上大夫, 山上, 良, 最々後人, 臣, 大夫 / おくら, ら |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 第3期 |
部立 | 雑歌 |
季節 | 秋 |
補足 | 山上憶良/やまのうへのおくら/山上憶良 |
詠み込まれた地名 | 筑前 / 福岡 |
関連地名 | 【故地名】筑紫の国 【故地名読み】つくしのくに 【故地説明】筑紫に同じ。 【地名】筑紫の国 【現在地名】九州地方の総名にも、また筑前・筑後の総称としても用いる |