歌詳細

瀧の上の三船の山にみづ枝さししじに生ひたる栂の木のいや継ぎ継ぎに万代にかくし知らさむみ吉野の秋津の宮は神からか貴くあらむ国柄か見が欲しからむ山川を清みさやけみうべし神代ゆ定めけらしも

項目 内容
番号 6-907
漢字本文(部立) 雜歌
漢字本文(題詞) 養老七年癸亥夏五月、幸于芳野離宮時、笠朝臣金村作歌一首〔并短歌〕
漢字本文 滝上之御舟乃山尒水枝指四時尒生有刀我乃樹能弥継嗣尒万代如是二二知三三芳野之蜻蛉乃宮者神柄香貴将有国柄鹿見欲将有山川乎清〻諾之神代従定家良思母
読み下し文(部立) 雜歌
読み下し文(題詞) 養老七年癸亥の夏五月、吉野の離宮に幸しし時に、笠朝臣金村の作れる歌一首〔并せて短歌〕
読み下し文 瀧の上の三船の山にみづ枝さししじに生ひたる栂の木のいや継ぎ継ぎに万代にかくし知らさむみ吉野の秋津の宮は神からか貴くあらむ国柄か見が欲しからむ山川を清みさやけみうべし神代ゆ定めけらしも
訓み たぎのへのみふねのやまにみづえさししじにおひたるとがのきのいやつぎつぎによろづよにかくししらさむみよしののあきづのみやはかむからかたふとくあらむくにからかみがほしからむやまかわをきよみさやけみうべしかみよゆさだめけらしも
現代語訳(部立) 雑歌
現代語訳(標目) 雑歌
現代語訳(題詞) 雑歌
現代語訳(序文など) 雑歌
現代語訳 激流のほとりにそびえる三船山に美しい枝を一面にひろげた栂の木のように、ますます次々と万年の後までもこのように支配なさるであろう吉野の秋津の宮は、神々しい故に貴いのだろうか、土地柄のために見たいと思うのだろうか。山や川が清くすがすがしいので、なるほど神代の昔からこの地を宮と定めたのだなあ。
歌人 笠朝臣金村 / かさのあそみかなむら
歌体 長歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節
補足 笠金村/かさのかなむら/笠金村【笠朝臣金村】
詠み込まれた地名 大和 / 奈良
関連地名 【故地名】秋津の宮
【故地名読み】あきづのみや
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町
【故地説明】吉野離宮のこと。

→吉野の宮(吉野にあった離宮。応神・雄略・斉明・天武・持統・文武・元正・聖武の諸天皇の行幸があった。集中の吉野吉野宮は吉野町宮滝の地域内と見られ、宮址はもとの中荘村役場付近と伝える。他に東吉野村大字小字黒田の丹生川上中杜付近、大淀町などの説もある。)
【故地名】三船の山
【故地名読み】みふねのやま
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町
【故地説明】奈良県吉野郡吉野町宮滝(吉野離宮の地)と吉野川をはさんで東南にある山(487メートル)。船岡山ともいう。北の山裾(柴橋上流)は激湍部にあたり、西方象山との間に喜佐谷を作っている。なお宮址とともに他を考える説もある。
【故地名】み吉野
【故地名読み】みよしの
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町
【故地説明】→吉野
【故地名】吉野の離宮
【故地名読み】よしののとつみや
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町
【故地説明】吉野の宮に同じ。
【地名】三船の山:吉野:秋津の宮
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町宮滝の柴橋から上流右手に見える山:奈良県吉野郡吉野町宮滝にあった離宮:吉野の離宮に同じ