歌詳細

やすみししわご大君の高知らす吉野の宮はたたなづく青垣隠り川並の清き川内そ春べは花咲きををり秋されば霧立ち渡るその山のいやますますにこの川の絶ゆることなくももしきの大宮人は常に通はむ

項目 内容
番号 6-923
漢字本文(題詞) 山部宿祢赤人作歌二首〔并短歌〕
漢字本文 八隅知之和期大王乃高知為芳野宮者立名附青垣隠河次乃清河内曽春部者花咲乎遠里秋去者霧立渡其山之弥益〻尒此河之絶事無百石木能大宮人者常将通
読み下し文(題詞) 山部宿祢赤人の作れる歌二首〔并せて短歌〕
読み下し文 やすみししわご大君の高知らす吉野の宮はたたなづく青垣隠り川並の清き川内そ春べは花咲きををり秋されば霧立ち渡るその山のいやますますにこの川の絶ゆることなくももしきの大宮人は常に通はむ
訓み やすみししわごおほきみのたかしらすよしののみやはたたなづくあをかきごもりかはなみのきよきかふちそはるべははなさきををりあきさればきりたちわたるそのやまのいやますますにこのかはのたゆることなくももしきのおほみやびとはつねにかよはむ
現代語訳 あまねく国土をお治めになるわが天皇が高々とお治めになる吉野の宮は、重なりあう青山に囲まれ、川の流れの清らかな川内であることだ。春には山に花が咲きあふれ、秋になると川霧が立ちこめる、その山がいっそう重なり合うように、この川がいっそう絶えることがないように、ももしきの大宮人は変わりなく通うだろう。
歌人 山部宿禰赤人 / やまべのすくねあかひと
歌人別名 山部宿禰明人
歌体 長歌
時代区分 第3期
部立 雑歌
季節 なし
補足 山部赤人/やまべのあかひと/山部赤人【山部宿祢赤人】
詠み込まれた地名 不明 / 不明
関連地名 【故地名】吉野の宮
【故地名読み】よしののみや
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町
【故地説明】吉野にあった離宮。応神・雄略・斉明・天武・持統・文武・元正・聖武の諸天皇の行幸があった。集中の吉野吉野宮は吉野町宮滝の地域内と見られ、宮址はもとの中荘村役場付近と伝える。他に東吉野村大字小字黒田の丹生川上中杜付近、大淀町などの説もある。
【地名】吉野の宮:1大宮
【現在地名】奈良県吉野郡吉野町宮滝にあった離宮