歌詳細
項目 | 内容 |
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番号 | 巻6-971 |
漢字本文(題詞) | 四年壬申、藤原宇合卿遣西海道節度使之時、高橋連蟲麻呂作歌一首〔并短歌〕 |
漢字本文 | 白雲乃竜田山乃露霜尒色附時丹打超而客行公者五百隔山伊去割見賊守筑紫尒至山乃曽伎野之衣寸見世常伴部乎班遣之山彦乃将応極谷潜乃狭渡極国方乎見之賜而冬木成春去行者飛鳥乃早御来竜田道之岳邊乃路尒丹管士乃将薫時能桜花将開時尒山多頭能迎参出六公之来益者 |
読み下し文(題詞) | 四年壬申、藤原宇合卿の西海道節度使に遣さえし時に、高橋連虫麻呂の作れる歌一首〔并せて短歌〕 |
読み下し文 | 白雲の龍田の山の露霜に色付く時にうち越えて旅行く君は五百重山い行きさくみ賊守る筑紫に至り山のそき野のそき見よと伴の部を班ち遣はし山彦の応へむ極み谷蟇のさ渡る極み国状を見したまひて冬隠もり春さり行かば飛ぶ鳥の早く来まさね龍田道の丘辺の道に丹つつじのにほはむ時の桜花咲きなむ時に山たづの迎へ参出む君が来まさば |
訓み | しらくものたつたのやまのつゆしもにいろづくときにうちこえてたびゆくきみはいほへやまいゆきさくみあたまもるつくしにいたりやまのそきののそきみよととものべをあかちつかはしやまびこのこたへむきはみたにぐくのさわたるきはみくにかたをめしたまひてふゆこもりはるさりゆかばとぶとりのはやくきまさねたつたぢのをかへのみちににつつじのにほはむときのさくらばなさきなむときにやまたづのむかへまゐでむきみがきまさば |
現代語訳 | 白雲の湧く龍田の山が秋の露霜で一面に色付く時、山道を越えて旅立っていくあなたは、幾重にも連なる山を踏み分けて行き防備の前線である筑紫に至ると、山野の果てを見よ逆らう者を駆逐せよと配下の者を方々に遣わし、山びこのこだまの響きあう限り蟇蛙が渡り歩いて行く果てまで、国土の状態をご覧になられて、冬も尽き春になったなら、空飛ぶ鳥のように早く帰っておいでなさい。龍田道の丘辺をめぐる道に赤い躑躅が美しく咲く時、桜の花も咲くだろう時に、接骨木の葉のようにお迎えに出ましょう。あなたがお帰りになったなら。 |
歌人 | 高橋連虫麻呂 / たかはしのむらじむしまろ |
歌体 | 長歌 |
時代区分 | 第3期 |
部立 | 雑歌 |
季節 | 秋 |
補足 | 高橋虫麻呂/たかはしのむしまろ/高橋虫麻呂【高橋連虫麻呂】 |
詠み込まれた地名 | 不明 / 不明 |
関連地名 | 【故地名】西海道 【故地名読み】さいかいどう 【故地説明】九州・壱岐・対馬の総称。 【故地名】龍田の山 【故地名読み】たつたのやま 【現在地名】奈良県生駒郡三郷町 【故地説明】三郷町の西方、生駒の山脈の南部、信貴山の南端、大阪府柏原市にまたがる山地。 【故地名】龍田道 【故地名読み】たつたじ 【現在地名】奈良県生駒郡三郷町 【故地説明】龍田山越えの道。龍田本宮付近から柏原市高井田方面へ出るものであろうが古道は明らかではない。 【故地名】筑紫 【故地名読み】つくし 【故地説明】九州地方(大宰府管下の西海道、九国二島)の総称。また筑前・筑後の総称としても用いた。 【地名】竜田の山:筑紫:竜田道: 【現在地名】奈良県生駒郡三郷町立野の竜田本宮西方の山:筑前・筑後をさすが、元来、九州全体の古称であり、その意に用いることもある:奈良県生駒郡三郷町立野の竜田本宮付近から、大和川沿いに大阪府柏原市高井田方面に出る道 |